2019/04/15

蔵出しめんたい本舗 めんたいアヒージョ(バケット付):800円


蔵出しめんたい本舗
めんたいアヒージョ(バケット付):800円
@鳥栖スタジアム


人は皆、少なからず固定観念を持っている。固定観念は自分のこれまでの生活、環境に大きく根ざしていて、これを取り払うのは思っている以上に容易じゃない。例えば料理だと、野菜炒めは弱火でじっくりと炒めた方が、高温でサッと炒めたより美味しいし、肉も45〜50℃くらいの低温でじっくり焼く方が美味い。高温でこの温度帯を一気に通過した肉は細胞が壊れてしまって肉汁が溢れ出し、美味そうには見えるが旨味は逃げてしまっている。もっといえば、トンカツも冷たい油の状態から揚げた方が良い。先に挙げた例は、そのどれもが普通の人なら「え〜…」という様な調理法だ。科学的に美味くなる事が実証されていても、固定観念に縛られたほとんどの人はまずやらないし、やろうともしない。それまでの自分のやり方を突き通す。固定観念を打破するには柔軟性が必要なのだ。では、柔軟性とは何だろうか?柔軟性とは多種多様な考えを受け入れるマインドセットの事だ。ただ、日本人は島国育ちで異なる文化や人種に触れる事が少なく、また自分と違うものに出会ったとき、まず優劣をつけてしまう傾向がある。違いを受け入れない、それを良しとしない。こうだからこうしろ、ああしろ、これが普通。柔軟性もへったくれもない。

私もそうだ。

これはこうでなければならない。こうするべきだ。人並みに固定観念を持ち合わせている。この料理に対してもそうだ。アヒージョは熱々でなければならない!熱くて油がブクブクしていないアヒージョなんて、アヒージョじゃない!
そう思っていた。だから、この商品を購入した時も、温めてくれると思っていたのにそのまま渡されたて凄くガッカリした。「あー、これ買ったの失敗だったなぁ〜。」食べる前からそう決めつけていた。

ただ、私は間違っていた。

とんでも無く、美味い!
期待していなかった分を差し引いても、驚くほど美味い。明太子、キノコ、チーズの旨味が十二分に引き出されたオリーブオイルは、五基本味の内、甘味・塩味・苦味・旨味が素晴らしいバランスで染み込んでいる。衝撃的な美味さだ。オリーブオイルだけでもこんなに美味いんだ。パンを漬けて食べたらどうなるんだろう!?期待がどんどん膨らんでいく。
(ちなみに、アヒージョの正しい食べ方としては、先にパンとオイルだけを食べ、オイルが少なくなってから具材を食べるのが正しい食べ方。先に具材だけを食べ切ったり、パンの上に具材をのせて食べたりするのは間違った食べ方だ。アヒージョはあくまで「具材の旨味が溶け込んだオリーブオイルを楽しむ料理」。グツグツに煮た具材をパンに乗せて食べる料理では無い。)

ひゃっはー!!超うめー!!
良い感じに溶け出したタラコの粒がバケットの隙間に入り込み極上の旨味が加わる。その量が絶妙!必要最小限で最大限の美味さになっている。

そして、ここまで食べて、ようやく気付く。
あれ、このアヒージョ、もしかして冷たい方が美味くねーか!!??

試してみたわけじゃ無いので、確定はできない。ただ、想像は出来る。もし、このアヒージョがグツグツだったら…。この絶妙な塩っ気と甘味は出ただろうか?キノコの微妙な苦味と渋みは消えていないだろうか?旨味はガーリックが主張しすぎて無いだろうか?

答えは出た。

このアヒージョは冷たいのが正義だ!
そして、このアヒージョは私の固定観念を完全にぶっ壊した。自分のこれまでの常識に対して「本当にそうなの?」と語りかけ、「なぜ?」を問いかけて来た。違う視点を体験させ「どう?」と呟き、新しい世界を見せてくれた。

「アヒージョは冷たくなきゃダメだ!」
刺激が強すぎて、新しい固定観念ができちゃうとこだった。

あと、そうそう!大事なことを忘れていた!トマトソースのペンネの存在だ!
何故、この組み合わせにペンネ?これ、必要?隙間埋めたいだけじゃね?なんて考えていたら意識がぶっ飛んだ!すげーぞ、これ!このペンネはアヒージョに唯一足りなかった五基本味”酸味”をカバーしている。しかも、その味がまた優しい…。なので、このペンネを箸休めにすると、アヒージョの新鮮な感動が何度でも味わえる!食べ終わるまで付き合って3日、お互いの嫌な所なんて全く見えていない、ドーパミン出まくりのウッピーでハッピーなカップルのままだ!

すげー発想!
よく、これをチョイスしたよね!!

とにかく、凄まじい商品だ!
絶対食った方がいい!!



なんと、試合終了後、残っていた商品がまさかの半額セール!危うく、アヒージョをもう一つ買ってしまうとこだったぜ…。