2019/05/21

☆奈良クラブ 「今日だけのカレー」を食べてきた。


☆奈良クラブ 「今日だけのカレー」を食べてきた。

・奈良クラブが考える、来客者増を見込める「スタジアムグルメ」
我が郷土・奈良からJリーグ参入を目指す「奈良クラブ」。
そんな奈良クラブが「サッカーを変える 人を変える 奈良を変える」というビジョンをかかげ新法人を設立。代表取締役社長に全国で54店舗の工芸生活雑貨店を展開する中川政七商店の十三代・中川政七氏が就任し、GMにはサッカー専門誌で話題となっている若干24歳の林舞輝氏が就任する新体制となった。

そんな奈良クラブが次のステップとして目指すJ3への昇格には、リーグでの成績の他、「ホームゲームでの観客動員数が平均2000人以上」という条件を満たすことが必要になる。その為、更なる来場者増を狙い、新プロジェクト『スタジアムグルメ革命』を発表した。

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以下抜粋

スタジアムグルメといえば、サッカー観戦の楽しみの一つ。最近は各チームでも地元食材を使うなど、レベルが上がってきています。しかし、奈良クラブのスタグル革命はその上を目指すことをここに誓います。

  • ●奈良クラブのキッチンディレクターであり、東京・代々木上原のフレンチレストランsioのオーナーシェフ鳥羽周作サポートの元、ジャンルを超えた有名シェフが作るその日だけの絶品「今日だけのカレー」をキッチンカーで販売します
  • ●サッカーの試合は2度と同じものはありません。そんな今日だけの体験をカレーでもライブで味わってもらうべく、シェフは毎試合ごとに変わります。奈良クラブのためにオリジナルカレーを開発し、カレーでもサッカーと同じく2度と同じものはない、まさに「今日だけのカレー」を提供します
  • ●キッチンカーの運営には地元の学生も参加し、奈良クラブの特徴である「学び」の要素もエッセンスとして加えます。学生の皆さんはキッチンカーの運営を通じて、年間15人の超一流シェフから料理技術だけではなく、思想や料理人としての姿勢などを学べます  


抜粋以上
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流石やり手の社長は発想が違う。
”スタジアムグルメ”という枠を助走なしで一気に飛び越えてきた。

過去にスタジアムグルメと有名シェフのコラボといえば、サンフレッチェ広島が「LA BETTOLA de Ochiai」落合務シェフ監修のパスタをスタジアムグルメと販売した事があったが、あれは当時所属していた佐藤寿人選手と落合シェフとの個人的親交から生まれた企画。確固たる目的を元に、クラブ主導で行うのは恐らく初めてではないかと思う。それが、資金や知名度のあるJリーグのクラブでなく、現状JFLに所属するクラブがやるのだから単純に凄い。スタジアムグルメ大好きの食いしん坊にとっては気になって仕方ないのは当たり前だ。

と、いうわけで、行って来た。

私が訪れたのは、5/20橿原公苑陸上競技場で行われた第八節Honda.FC戦だ。



・その日しか食べれないカレーは「集客」につながるのか?


この日、私が食べた噂の奈良クラブ「今日だけのカレー」は本当に美味かった。言葉で表現するのがバカバカしくなるほど美味かった。

ただ、残念な事に私がいくらこのカレーが美味しかった事を伝えても、もう誰にも理解も共感もして貰えない。何故なら「今日だけのカレー」だから。
もう、このカレーが販売されることは無い。

一期一会。
確かに素晴らしい。
ただ、それが良いのか悪いのか、私にはわからない。
出会いと別れが刹那的過ぎるのだ。

仏教では指をひとはじきする間に65刹那あると言われている。
奈良クラブにはシーズンを通して15ある。

この15刹那が集客につながるのか?
導入の経緯から考えれば、一番重要なのはそこだ。

食事で大切なのは料理の質もそうだが、それと同じくらい「いつ、どこで、何を食べたか?」も重要視される。スタジアムグルメという観点で見れば『試合を見に行った時、スタジアムで、○○を食べた』という事だ。
それが前提となり、【共感】が加わって、初めて【名物】となる。

ただ、この商品に対しては【共感】が出来ない。
誰かに勧める事も、次に誰かを連れてきて一緒に食べる事も出来ない。
大枠で「こういうのがあるよー!」という事は出来るが、未知の料理の味は保証できない。だって、その日しか食べられないのだから。

私は「カシマスタジアムに観戦に行き、食肉のモツ煮を食べる」。
本当に美味しいし、カシマでしか食べれない。だから、カシマスタジアムのおススメを聞かれたら間違いなく「食肉のモツ煮」を進める。
カシマに行けば食べられる!という安心感があるから、目的の一つになる。

でも、このカレーは次来た時には食べれない。
次は違うカレーになっている。

確かに毎回、違うカレーは確かに新鮮だ。
コンセプトにも「サッカーの試合と同じく、二度と食べれない今日だけの体験をカレーでもライブで味わってもらうと書いてあるが、面白い試みだと思う。
コアなサポーターにとっては、飽きないだろう。
しかし、【名物】と呼ばれるグルメは安心感がある。心地よさがある。
家に帰るたびに、パートナーが違う生活というのはある意味刺激的なのかもしれない。私はそう思わないが、羨ましいと思う人もいるだろう。しかし、安心感は無い。出会う度にまずは探り合いだ。人は好みがあるので、一目惚れする事もあればガッカリする事もあるだろう。ふり幅があるのでどっちに転ぶかわからない。
それは集客につながる【名物】になるのだろうか?

私が知っている某レストランを例に挙げると、そこには【名物】と呼ばれるスペシャリテがある。そのレストランは凄く繁盛しているが、そこに来る方のほとんどはその【名物】を目当てに来る。なので、その日限定のスペシャリテを用意しても、【名物】を目当てに来た方はそちらに流れない。凄くお得で希少価値があってもいかない。二つ一緒に注文する方はいるが、限定料理だけに流れる人は中々いない。

勿論、世の中のレストランには【名物】と呼ばれるものが一つの料理ではなく、シェフの造る全ての料理、もしくは店そのものがそうなっている店も多い。懐石料理でも主菜となる”向付、煮物椀、焼物”は季節感を重視するので、一年を通して同じものが出てくる事はない。クリエイティブな作品を提供されるシェフがいるフレンチ&イタリアン等もそうだ。ただ【軸となる味】は持っている。
また、”客数を必要としている店=広く客数を集めている店”も必ず【軸となる料理】を持っている。流行っている店は必ず【軸となる料理】がしっかりしている。
しかし、奈良クラブが提供する「今日だけのカレー」はキッチンディレクターとして鳥羽周作氏がいるものの、店もシェフも変わる、実際に提供される料理、味も変わる
なので、我々は奈良クラブと鳥羽氏を間接的に信頼するしかない
そういう意味での”安心感”がこのカレーには欠けている。

そしてもう一つ。
「奈良クラブ」の名物が”奈良にゆかりの無いモノ”で良いのか?
”奈良にゆかりの無いモノ”が奈良クラブの名物になるのか?
疑問が残る。

ちなみに、この日は無かったが、奈良クラブには鳥羽周作氏が作ったオリジナルの”奈良漬バーガー”というものがあるらしい。味も絶品で、鴻ノ池陸上競技場で開催される試合では毎試合販売されているようだ。そういう意味ではこちらの方が先に【名物】になるんじゃないかと考えている。


だから、もし奈良クラブが「カレー」で真剣に集客を考えているのなら、個人的には町田の”ロックなカレー屋 YASSカレー”のように、名物の「YASS角煮カレー」と単発の「日替わりカレー」の二枚看板という組み合わせがベストだと思っている。これなら常連サポも、新規客も両方楽しめる。


勿論、このプロジェクトは始まったばかり。

この先、方針転換はあるかもしれない。
そもそも、これはあくまでも私の私見と偏見、そして思い込みだ。
クラブの考えとして、もっと先を見通し、もっともっと深い所で思慮されたモノがあるのかもしれない。いや、ありそうだ。

どちらにせよ、このアイデアとスピード感が素晴らしい事に疑いの余地はない。ソシオ、サポーター、スポンサーを巻き込み、”奈良クラブ一味”として一緒に作り上げるという取組も、あらゆる人を巻き込んで強いチームを作る!という強い意志が感じられる。

とりあえず、この美味しいカレーを食べながら、更なる進化を期待したい。