2020/12/15

喫茶ジェイ ごりごりプリン:300円


喫茶ジェイ
ごりごりプリン:300円
@鳥栖スタジアム


午後4時過ぎ、試合終了後の喧騒感がまだまだ残る中、スタジアムを後にする。宴は終わった。ただ、全てが終わったわけじゃない。寧ろ、お楽しみはこれからだ。そう、これから『鳥栖スタジアムの向こうに沈む夕陽を見ながら、喫茶ジェイのコーヒーとだんご庵季彩の団子を楽しむ』、私の一番好きな時間が始まる。しかも、今日はジェイさんが試合後限定のメニューを用意していると聞いていた。それがこれ。

元々は11月の数量限定メニューだったものだが、大好評なので今回も少しだけ焼いてきてくれたらしい。個人的にはTwitterで見かける度に「美味そうだなぁ…」「羨ましいなぁ…」「食べたいなぁ…」と思っていたのでめちゃくちゃ嬉しい。そして、その味は期待を大きく上回る出来栄え!

うんまぁー!!
ちょー美味い!!!
そして、すごく懐かしい…。

商品名そのまんまのゴリゴリとした固めのプリンは食感と甘さのバランスがバッチリ!苦めのカラメルを絡めると更にこのプリン独特の甘さが口の中一杯に広がる!普段、ぷっちんプリンしか食べない嫁ちゃんも大絶賛!味は大人のプリンだが、子供も包み込む包容力も持ち合わせている。

そして、何よりもこのプリンは懐かしいんだ…。
涙が出る程、懐かしい…。

昔、うちの祖父は某鉄道会社の偉いさんだった事もあり、毎年夏と冬には部屋を埋め尽くす大量のお中元&お歳暮が届いていた。勿論、祖父宛なので、そのほとんどがビールや日本酒などの酒中心。当時子供だった私には何一つ嬉しくない(まぁ、カルピスや缶詰もあったけどね)。そんな中、極まれに届くゼリー&羊羹、そしてアルミ缶に入ったプリン。そう、このプリンが当時本当に苦手だった。スーパーの3個100円で売っている柔らかく甘ったるいプリンに慣れた子供にとって、この手のプリンは硬派過ぎた。味はお上品で食感も固く、カラメルは苦い。そして何より、アルミ缶の匂いが鼻につく独特の匂いがした。「もう、こんなプリンじゃなくて普通のプリン送ってくれたらいいのに!」。本気でそう思っていた。

これはあの時のプリンだ…。
あの時のプリンにたっぷりの思い出補正を加え、アルミ缶の嫌な臭いを取り除いたのがこれだ。それがこの宵闇が迫るこのスタジアムの今に凄くマッチしている。

~東の野に かぎろひの 立つ見えて
かへり見すれば 月かたぶきぬ~

柿本人麻呂のこの詩歌は「東の野原を見れば空を真っ赤に染め、今まさに朝陽が昇ろうとしている。振り返って西の空を見ればまだ月が沈まずに残っている」という意味だ。ただ、私はスタジアムの向こうに沈む夕陽、赤く染まる空を目の前に満月の様に輝くプリンを見てこの詩歌が頭に浮かんだ。あぁ、これは心のフォトグラフに触れるプリンだよ…。

この商品に限った事ではないが、ジェイさんの料理ってアラフォー世代に凄く刺さるような気がする。なんかねぇ、懐かしくて新しい。過去に触れながら新しいものを見せてくれる。夕焼けなんだよ。『ウルトラセブン』でモロボシ・ダンとメトロン星人が夕日の差し込み部屋でちゃぶ台を挟んで胡座で対談するあの場面なんだよ。セピア色にエロイんだよ(まぁ、ジェイさん自身はドピンクでエロイかもしれないけど…)。なんつーか、若くて健康的なピチピチのエロさでも、グラマラスでセクシーなエロさでもない。そう、若い時はそうでもなかったのに、30代中盤ぐらいからなんか魅力的になる妖艶な女性っているじゃない?吉田羊とか。それ系のエロさなんだよ。だから、自分がこの年になるとめちゃくちゃ刺さるんだよ…。堪んねーんだよねぇ…。喫茶ジェイの魅力ってここにあるんじゃないかなぁー、と私は勝手に思っている。女性からみたらどうなんだろう?めちゃくちゃ男前ってわけじゃないけど、哀愁のあるダンディズムのある男性。リリーフランキーや吉田鋼太郎のような感じかな?知らんけど。

あざやかに恋を演じる罪な店。
それが喫茶ジェイだと私は思っている。

だから、大好きだ。
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●コーヒー:300円 / ほっとレモネード:300円

勿論、このプリンに合わせて温かい飲み物も購入。
この日のコーヒー豆はチアゴ・アウベス選手の故郷・ブラジル産アマレロを使用。コク・香り・キレのバランスに優れた誉れ高い一杯。日が沈み、肌寒くなってきたこの時間に飲むと、必要以上に体に沁みる。コーヒー”は去年より100円値上げされているが、去年までの200円が明らかに安すぎただけでこの値段でも全く気にならない。いや、むしろまだ安いぐらいだ。
”ほっとレモネード”は国産レモンで作った自家製のレモンシロップを使用。甘酸っぱい優しい味わいが体の疲れを癒してくれる。堪らんぜ…。