2019/09/30

YASUDA BURGER アボカドチーズバーガー:1100円


YASUDA BURGER
アボカドチーズバーガー:1100円
@平塚競技場


この日の湘南は太陽が照り付けていた。9月末というのにその日差しは夏そのもの。そんな中、ひときわ目立つ行列の中に飲み込まれていく。そして、待つ事数十分。ようやく手にした幾重にも重なる羽衣と抱えきれないほどの希望。そして何より、魔物に魅入られた執念に駆り立てられ私は逆上せあがる。日差しに色付くバーガーを目の前に感じるのは、挑む者を試すような静けさ。巨大なバーガーをただ見下ろすのみだ。

私はアゴが外れるギリギリまで口を開き挑みかかる。そういえば、子供の頃は夢見心地で大きく見えたハンバーガーにカブりついた。ちょっとしたお菓子や缶ジュースだって大きく見えた。夢が溢れていた。しかし、大人になるとそれが錯覚だった事に気付く。そうして私達は大人になっていくんだ…と思っていた。でも、この巨大なバーガーは私達が子供の頃に抱いていたワクワク感や冒険心を全力でくすぐる。大きなバーガーは夢の塊だった事を思い出させてくれる。それは私達がハンバーガーに対して思い描いく原風景だ。必然的に忘れていた少年の心に火が灯る。あの頃の自分が蘇る。この積み上げたものにカブりつき、身に付いた孤独論理を噛みしめる事で幾重に重なり合う夢の放物線を再び描く。まず、口の中に飛び込んできたのはパンズ。ふんわりとした食感を感じた瞬間、口の中でとろけるようなこの感覚。小麦粉からパンズへと姿を変えた物体が再び小麦粉に戻る。そこに残るのはほんのりとした心地よい甘さとリッチ感だけ。折り畳まれた弾ける程みずみずしいシャキシャキのレタス(そう!バーガーにはこれ!これがいいのだ!サニーレタスじゃだめなんだ!)、トマトの新鮮な酸味、アボカドの重厚な滑らかさ、そして、荒々しい食感が牙をむく肉々しいパティが優しく、そして官能的に口の中を支配する。魂は飢え渇き、目の前のハンバーガー以外何も目に入らない私をあざ笑うかのようにこのハンバーガーは刻々と様々な表情を見せつける。豊かさも温かさもこの世の複雑さも、あるいは優雅さも、今感じる事が出来る喜びも全て…私はそれを胸いっぱいに満たす。このバーガーは大人になった私達が子供の頃に失った冒険心を全力で呼び起こしてくれる。いや、私達じゃねーな。そんなかしこまった言葉は相応しくない。俺達だ。無邪気な勇気を振り絞って童心の熱を呼び起こし、かすかな希望に全力を出したあの頃の自分が、情熱の炎が蘇る。そして、再び俺達の男の子を咲かせよう。

このバーガーはいかに高い理想を持ち、いかに大きな期待を胸に抱いて望んだとしても絶対に失望する事はない。このハンバーガーは夢と希望に溢れたマッスルドッキングだ。



一回の調理(ロット)で出来上がるバーガーは最大7個ぐらい。人気店なので時間によってはかなり待つ事もあるが、心配しなくていい。長時間、待って食べるだけの価値は十分にある。