2019年シーズン限りで、10年以上にわたり等々力陸上競技場のメインスタンドに出店していた山田うどんさんの閉店が決定した(ちなみに、埼玉スタジアム2○○2からの撤退も決まっている)。旧メインスタンド時代から長年フロンターレサポーターの胃袋を支えてきた人気店の撤退だけに寂しさは隠しきれない。この寂しさは、長年在籍した選手の契約満了時に感じる気持ちに通ずるものがある。
昔の等々力陸上競技場はフロンパークの様なスタジアム前に広がるフードコートもなく(まぁ、そもそも観客が少なかったんだけど…)、競技場内の食事事情も貧弱で、和幸さんの限定カツ弁当を奪い合う弱肉強食の時代が長く続いていた。そんな中、安くて美味い山田うどんさんはサポーターにとって本当に貴重な存在(なぜ埼玉に本店を構え、埼玉を中心に出店している山田うどんさんが等々力に出店していたのかはわからない。等々力七不思議のひとつである)。それは、新メインスタンドが完成してからも変わらず、常に山田うどんさんの前には行列が出来ていた。私も写真は取っていないが、これまで何度お世話になったかわからない。そんな山田うどんさんの名物といえばパンチ(もつ煮)。個人的にはあまりこのパンチは好きじゃないんだけど、フロンターレサポーターにはかなり愛された一品だった。
と、いうわけで、この日はホーム最終戦。
長年愛されてきた山田うどんさんへの感謝の気持ちを込めた【ありがとう!!山田うどん!!等々力パンチ祭り!!】が開催される事が決定。山田うどんの名物であるパンチ(もつ煮)をモチーフにした食べ物を場内の各飲食売店が販売するらしい。その中で強烈に目を引いたのが、このパンチうどん風プリンだ。
〈うどんをペーストにして混ぜ込んだプリンに、栗のペーストと水飴で細工したもつ風の何かとネギ風の何かを添えた(公式サイトから引用)〉
という、見た目とコンセプトに長針と短針を全振り。完全に頭のネジがぶっ飛んでいる。
しかし、それにしても完成度が凄い。
パッと見はどこからどう見てももつ煮込みがのったプリンだ。
まぁ、私はこれまでの人生でもつ煮がのったプリンを食べた事が無いのでこれが正解がどうかは全く分からんが、頭がおかしい事だけは十分にわかる。パンチ(もつ煮)に模して造られた飴細工は控えめに言って甘い泥。口の中でネチャネチャしてただただ気持ち悪い。プリンもうどんのペーストを混ぜ込んだ為か舌触りがヌメヌメ。食感も必要以上に重い。よーするに単純に美味しくない。
ただ、この商品は味なんてどうでもいいんだ。
場内に掲示されているポスターにも『とにかく、見た目重視です!!』と完全に味は度外視している事を断言している。正直に言っているのだから受け止めるしかない。なので、そういう意味ではこの商品は120点満点だ。
こんなユニークは見た目のプリンは見たことが無いし、今後二度と見る事も無いだろう(つーか、実物で再現されたとしても、食べたいとは思わない)。ただ、一番のコンセプトである山田うどんさんへの感謝とリスペクトの心も存分に表現されている。
しかしマズい。
めちゃくちゃマズい。
もう二度と食べたくない。
でも、この商品はこれでいいんだ。
これは一つの愛の形なんだ。
今までありがとう!
山田うどんさん!!
この商品の味の事はすぐにでも忘れたいが、これまでの幾多の思い出と共に等々力に山田うどんさんがあった事は一生忘れないだろう。


