2024/11/11

松田酒場 新政No.6 S-type:1100円



松田酒場
新政No.6 S-type:1100円
@山形県総合運動公園陸上競技場


今節の山形のスタグルは日本酒フェスが開催!ビールフェスは多くのスタジアムでも目にすることが多いが、日本酒フェスはかなり珍しい。この現状に私はずーーーーーっと不満を持っていた。だってさぁ、国酒だぜ!?地域に根付いた酒だぜ!?風土の具現化だぜ?地元の魂だぜ!?新潟とか秋田とか絶対にやった方がいい!いや、やるべきでしょ!逆に九州の一部を除けばほぼ全ての都道府県に素晴らしい日本酒があるんだからどこでも出来るよ!と思っていた。だから、今回のイベントはかなり嬉しい。日本酒に関わる仕事に携わる者として心から嬉しい。なので、個人的にも全力で盛り上げて行きたいと思う。

と、いうことで先ずはこちら。
現在進行形の日本酒を語る上で絶対に外すことの出来ない銘酒・新政。秋田県産の酒米を生酛純米づくりにより、現存する日本最古の酵母・六号酵母(新政酵母)にて醸すその酒は、数え切れない程の人達を日本酒沼に引きずり込んできた。何を隠そう、うちの嫁ちゃんも実はその一人だ。大学時代にろくでもない酒を飲んだ経験から日本酒大嫌い教に入信していた(これ、ほんと日本酒業界の課題よ。若い子達に飲み放題のしよーもない酒を飲まれて悪い印象を持たれる前に、しっかりとした日本酒を飲ませていいイメージを持ってもらわないとダメ!一部のマニアだけが買い占めて悦に入ってちゃーダメ!)が、新政No.6を飲んで一瞬で改宗。今では誰よりも新政を愛し、私よりも旅先で日本酒を嗜んでいる。そう、この酒にはそれ位の魔力がある。ただ、一般人が新政を日常的に飲むのはかなり難しい。ただでさえ人気は上昇の一途で需要はどんどん拡大しているのに、全量木桶仕込みに変更した事と温暖化の影響からか米が溶けにくくなった事も重なって供給量はかなり減少(噂ではここ数年で約6割位に減少したらしい)。個人的な体感として、colorsやPrivate Laboシリーズはともかく、No.6に限って言えば十四代の次くらいに安定して手に入れるのはしんどくなった感じがする。そんな新政の定番酒が一通りずらーーっと並んでいるんだぜ!?いや、マジでこのラインナップは凄いよ!これだけ揃えられる飲食店は中々ないよ!この凄さが一部にしか伝わっていないことが本当にもどかしいね。

と、いうわけで今回はNo.6のS-typeをチョイス。No.6はR-type(純米酒スペック)、S-typeスペック(純米吟醸スペック)、X-type(純米大吟醸スペック)とあるが、個人的にはS-typeが一番好きなんだよね。全量木桶仕込みになって昔と比べると差が詰まった感じもあるが、それでもS-typeが一番全てのバランスが良い気がする。一口含むと均整の取れた美味さのさざ波が細やかな気泡に包まれて真っ直ぐ飛び込んでくる。それを受け止めてると、口の中に広がるのは聡明で麗しい甘味と芯の強い旨味!その2つの間を司る酸味は甘味と旨味の輪郭をより明確にし、メリハリのある味わいを演出!後口は爽快な余韻と心地よさを残して今そこにあった事を明確に残していく。もう、マジで美味すぎるのよ。惚れ惚れする美味さなのよ。新政を飲むことで日本酒はここまで美しくなれるんだ!ということを多くの方に知ってもらいたいね。

ただ、繰り返しになるけど、この美味さを多くの人が知ってしまったら益々手に入らなくなる…という絶望が待っているのが辛いところなんだけどさ。



新政以外にも田酒、而今、飛露喜、赤武、くどき上手、楽器正宗、電照菊と素晴らしいラインナップ!昔よりはマシになったとは言え、もっと飲める体質だったら…と悔やまずにはいられない。