2019/12/06

カフェフードバーわいわい ほやの天ぷら:500円(3コ) @等々力陸上競技場


ホヤって凄いよねぇ…。

見た目は超グロテスク。オレンジ色の不気味な軟体は気味の悪い物体でどう見ても美味そうには見えない。人類で最初にこれを食べた人はよほど食うものが無く腹を空かせていたのだろう。じゃなきゃー、普通食べてみようとは思わないはずだ。見た目の形状から海のパイナップルなんて呼ばれているがこんなのほぼこじつけ。海の十二指腸と呼ばれたほうが正直スッキリする。

ただ、そんなホヤだが味は別格。
世界三大珍味と呼ばれるキャビア、トリュフ、フォアグラよりも複雑な味わいで、プルプルとした食感から津波のように押し寄せる怒涛の海のエキス。ほんのり感じる苦味がアクセントとなって全体をまとめ上げている。なんと不思議な食材だろうか。そもそもホヤは味覚の基本要素(甘味・塩味・酸味・苦味・旨味)を一度に感じることができる珍しい食材と言われている。また、海水の影響を受けやすい生物と言われていて、獲れる浜辺の塩分濃度の濃さやで味も大きく変わるらしい。なので、ホヤを味わうという事はその海をダイレクトに味わう事だ、と断言してもいい。

そういう意味では、去年の【陸前高田ランド】で食べた「たかたのゆめ」ブランド研究所のホヤキムチごはんは少しだけ不満が残った。キムチの強烈な味わいがホヤの繊細で儚い味わいを押しつぶしていた。ご飯のお供としては最高に美味いが、ホヤ本来の味を楽しむという点に於いては少し残念だったんだ。だからこそ、贅沢かもしれないが個人的にはもっとホヤそのものを楽しめる料理が食べたかった。

そんな中、登場したのがこのホヤの天ぷら。

天ぷらぁぁぁあー!!????

もう、最高やん!!
素材の良さを最大限に引き出す調理法として天ぷらに勝るものはない。

世間一般的には天ぷらは揚げ物としての認識されている。
ただ、一流の天ぷら職人はいう。
天ぷらの本質は蒸し料理なんです。天ぷらとは熱と素材そのものがもつ水分で食材の旨味をうまく引き出す蒸し物。衣の中にその旨味を封じ込め、素材のポテンシャルを極限まで引き出し丸ごと味わう贅沢過ぎる料理なんです。』と。だから、三陸のホヤをダイレクトに楽しむなら天ぷらこそがベストだ。海水の影響を受けやすいホヤをホヤそのものが持つ水分で蒸しホヤが持つ味覚の基本要素を全て引き出す。あぁ、もう考えただけでヨダレしか出てこない…。

と、いうわけでこの天ぷら。
人気商品で調理が追いつかないのか揚げたてをGET。
これを問答無用で口の中に放り込む。

おおおおおぉぉぉぉぉぉ…
なんだこりゃぁぁぁ…
サクサクの衣の中から現れるプリプリのホヤ。
甘味・塩味・酸味・旨味が口の中で踊り狂い、ほんのりとした苦味がそれをまとめていく。特にその驚く程醸し出されるホヤ特有の甘みは突出。独特のクセ、刺激的な舌触りも和らぐ。そして、眼前に広がる三陸の海。太平洋の荒波が奇岩の断崖に砕け、白い泡となって引いていく光景が何度も繰り返される。
あぁ、絶景かな、絶景かな…。

いやー凄い。
とにかく凄い。
とんでもなく凄い。

このホヤの天ぷらは間違いなく至高の逸品だ。

ホヤって凄いよね…。